僕は昆虫が嫌いだ。
もちろん子供の頃はカブトムシやクワガタ、カナブン、蝉などを取りに行く普通の子供だったが、物心つくにつれ苦手になってきた。特に毛虫みたいな長い奴は嫌いだ。そしてクモやゴキブリみたいな家にいて出てくるような奴も嫌いだ。
とは言っても僕は大人なので「ギャー」とか声を上げたり、虫が出てきそうな不安から睡眠不足に陥るようなことはない。

昨日、パーティーに行く前に女優と結婚した先輩が夫婦で僕の部屋にやってきた。ボーズを手に入れたので今まで使っていた少し大きめのスピーカーを譲ることにしたので、取りに来たというわけだ。このスピーカーにはLo-Dと懐かしい名前が入っていた。別居する前はYAMAHAのもう少しいいスピーカーだったのに「大きすぎるから」とか何とかいう理由ですり替えられていた。彼女の大勢いる男友達の誰かと交換したらしい。こんなとき男は責めたり出来ないものだ。

ざーっと片づけて二人をお通ししたのだが、女優の奥さんは時々顔を引きつらせながらも大人しくしていたが、先輩の方はやれ暑いだの散らかっているだのうるさかった。

うちにある冷蔵庫と電子レンジと炊飯器は彼が結婚するときに譲り受けたものだ。カビと汚れでものすごいものをもらってしまったと正直思ったけれどきれいに磨いて使っている(冷蔵庫だけは)。

うちにある元妻のおいていった必要のないものでなにか彼らが喜びそうなものはないかと考えていたら、茶色い植木鉢みたいなツボを思い出した。それぞれフタが付いていて「COFFEE」「SUGAR」などオシャレな文字が書いてあって全部で5個くらいある。きれいにして台所に並べればわりとかっこいいかもしれない。

しかし問題は中身が入っていたと言うことだ。彼女が残していったものにはあまり関心が無く、放って起きっぱなしだったのだが、ふと心配になって一つ開けてみた。

「COFFEE」と書いてあったが開けてみるとうす茶色の土のようなものが入っていた。よく見ると3ミリくらいのタマになっている。そして何か例えがたい臭いを感じたが、それほど不快な臭いでなかったのを記憶している。
イヤな予感がしてもう少し明るいところで見てみた。






虫だった。

見たこともない丸っこくてコーヒー牛乳みたいな色をした小さな虫だ。
一匹だけ思い立ったように羽を広げ飛んでいった。幸い玄関を少し開けておいたのでそこから外界に飛び立っていったようだ。他の虫はおそらく自分が飛べることすら気付いていないのだろう。

ビックリしたが、虫の生命力の強さに少し感動した。前のかみさんが引っ越していってからもう2年近く経つ。その間その茶色い植木鉢みたいなフタ付きのツボに僕は見向きもしなかった。どこから来た卵か分からないが、コーヒーの豆の中で孵化し、コーヒーの豆を食べながら2年近く世代交代を繰り返し、暗いツボの中で蠢いていたわけだ(この漢字がまた気持ち悪い)。そう考えると生き物ってスゴイ。きっと下等な昆虫のことだから食うものがなくなったら親の死骸まで躊躇無く食らっていたことだろう。

あー気持ち悪いですね。食事中の方ごめんなさい。
まだ開けていないが、「SUGAR」のツボからは白い虫が出てきたりして(笑)。

もうこいつらは強力なガムテープでグルグル巻きににして段ボール箱を2重にして誰も開けられないようにまたガムテープでグルグル巻きにして燃えないゴミの刑だ。どこかの埋め立て地で何世代でも不毛な繁殖を繰り返してもらおう。

この一部始終は先輩夫婦には極秘のうちに行われたドキュメントである。

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